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冬は日差しがやわらかく感じるので、「紫外線対策は夏だけで大丈夫」と思っていませんか。ところが、スキーやスノーボードから帰ってきたら顔だけ日焼けしていた、という話はよく聞きますよね。雪の上では、空から届く紫外線に加えて、雪に反射した紫外線も浴びることになります。
この記事では、気象庁の解説ページと、環境省の「紫外線環境保健マニュアル2020」に書かれている内容をもとに、雪の照り返しで紫外線がどれくらい強くなるのか、標高との関係、目に起こる「雪目」の症状、スキー場で顔と目を守る対策を整理しました。体の症状については医療機関の解説も参考にしていますが、気になる症状があるときは自己判断せず、眼科や皮膚科に相談してくださいね。
雪の上で紫外線が強くなるのはなぜ?
まずは、雪の上で紫外線が強くなる仕組みを確認しておきましょう。ポイントは、地面で反射する紫外線と、空気の中で散らばる紫外線の2つです。
新雪は紫外線の80%を反射する
気象庁の「地表面の反射と紫外線」のページでは、屋外にいる人は、上空から地上に向かう紫外線(太陽からの直射光と、大気で散乱された光をあわせたもの)を浴びるだけでなく、地表面で反射された紫外線も浴びていると説明されています。そして、この反射の割合は地面の状態によって大きく違うそうです。
同じページによると、草地やアスファルトの反射率は10%かそれ以下ですが、砂浜では25%、新雪では80%にも達するとされています。環境省のマニュアルでも、新雪80%、砂浜10〜20%、コンクリート・アスファルト10%、水面10〜20%、草地・芝生・土の地面10%以下という数字が紹介されていました。気象庁のページの図も、このマニュアルを出典としています。ドイツ連邦放射線防護庁の2026年1月の案内では、降ったばかりの雪は紫外線を最大90%反射するとされていました。
つまり、新雪の上に立っていると、空から届く紫外線に加えて、その8割ほどの紫外線が下からも返ってくることになります。環境省のマニュアルの図でも、晴天の新雪の上では、直接届く紫外線量に新雪で反射した紫外線量が加わり、「100%+80%」になるというイメージが示されていました。
この数字をほかの場所と並べてみると、違いがはっきりします。草地の反射率を10%とすると、草地の上で浴びる量は「100%+10%」で110%、新雪の上では180%なので、同じ空の下でも約1.6倍になる計算です。夏の海で日焼けしやすいと言われる砂浜でも、気象庁の表では25%なので、新雪はその3倍以上の紫外線を跳ね返していることになります。
反射した紫外線が下から届くことは、対策の選び方にもかかわってきます。気象庁のページは、上空からの紫外線には帽子や日傘が有効だとしたうえで、地表面から反射してくる紫外線も忘れずに、総合的な対策をとることが大事だと書いていました。つばのある帽子をかぶっていても、雪面からの照り返しは帽子の下から顔に当たるため、帽子だけでは防ぎきれないということです。
反射した紫外線がまた散らばって戻ってくる
気象庁のページでは、地表面で反射された紫外線の一部は上空に向かい、大気などでふたたび散乱されて地上に戻ってくるとも説明されています。つまり、地面の反射率が大きい場所では、反射率が小さい場所よりも、空から届く散乱光まで強くなるということです。
その例として、南極のように一面が雪原の場所では、上空からの紫外線量(UVインデックス)が、反射と散乱の効果によって、雪がないと仮定した場合と比べて4〜5割ほど増えることがわかっていると書かれていました。雪の上では、上からも下からも紫外線に囲まれていると考えたほうがよさそうです。
散乱光がどれくらいの割合を占めるかについては、気象庁の「散乱される紫外線」のページにくわしい説明がありました。紫外線は目に見える光より波長が短いので、空気の分子に当たって散らばりやすい性質があります。本州付近の夏の晴天時の例では、正午ごろに地上に届く紫外線の約6割が散乱光で、目に見える光の場合の1〜2割と比べてずっと多いそうです。日陰にいても、空が見える場所では目で感じる以上に紫外線を浴びる、と注意が書かれていました。
ここで気をつけたいのは、天気予報などで見るUVインデックスは、上空から地上に向かう紫外線の強さを示したものだという点です。気象庁のページでも、実際に浴びる紫外線量には地表面で反射される効果も含まれていることを考えに入れる必要がある、と書かれていました。予報の数字だけで安心しないようにしましょう。
UVインデックスは、紫外線が肌に与える影響の大きさを、0から11以上までの数字で表した国際的な指標です。環境省のマニュアルによると、1〜2が「弱い」、3〜5が「中程度」、6〜7が「強い」、8〜10が「非常に強い」、11以上が「極端に強い」に分けられています。3〜5の段階から、日中はできるだけ日陰を利用し、長袖シャツや日焼け止め、帽子を使うよう呼びかけられていました。雪の上では、この予報の値に反射のぶんが上乗せされると考えておくと、数字を見たときの判断がしやすくなりますね。
冬の紫外線は弱くても、雪で2倍近くになる
環境省のマニュアルには、「冬の間の紫外線は危険ではない」という思い込みに対する説明が載っていました。それによると、一般的に冬の紫外線は弱いけれど、雪による反射によって2倍近いばく露量になるそうです。特に高い山では、それが顕著だとされています。
また、春先の、気温がそれほど高くないのに紫外線が強い時期は、特に注意が必要だとも書かれていました。春スキーの時期は、日差しが強くなってきているうえに雪もまだ残っているので、気温の感覚だけで判断しないほうがよいでしょう。
春先に紫外線が強くなる理由は、気象庁の「太陽高度と紫外線」のページで説明されていました。紫外線の量は太陽の高さに大きく左右され、ほかの条件が同じなら、1年のうちでは夏至の前後にもっとも多くなります。冬から夏に向かって昼の太陽が高くなるにつれてUVインデックスも少しずつ大きくなり、関東地方では5月以降、UVインデックスが8を超える日が増えてくるそうです。3月や4月のゲレンデは、真冬より太陽が高い位置にあるということですね。
もう一つ覚えておきたいのが、紫外線は暖かさとして感じられないという点です。環境省のマニュアルにある「紫外線のうそ・ほんと」の表では、暑さを感じるのは赤外線によるもので、日焼けは感じることのできない紫外線によって起こると説明されています。さらに、紫外線の量は「強さ×浴びた時間」で決まるので、弱い紫外線でも長い時間浴びれば、強い紫外線を短時間浴びたのと同じ量になることがある、とも書かれていました。寒い日に1日中ゲレンデにいるときこそ、注意が必要というわけです。同じ表には、途中で休憩をとっても、紫外線を浴びた量は1日をとおして積み重なっていくという説明もありました。
Xでも、晴れた日にスキーに行くと一度で雪焼けする、スキーではとても雪焼けする、といった声が見られました。寒くて汗をかきにくい冬でも、雪の上で長く過ごす日は、夏と同じように紫外線対策を考えておきたいですね。
標高が高いゲレンデでは紫外線がさらに強くなる
スキー場は山の上にあることが多いので、雪の反射に加えて、標高の高さも紫外線を強める要因になります。気象庁の「標高と紫外線」のページから、その理由を見ていきましょう。
標高1000mで紫外線は約10%強くなる
気象庁のページによると、紫外線は上空から地上に届くまでの間に、空気の分子やエーロゾル(大気中に浮かぶ細かい粒子)によって散乱され、強さが弱くなります。標高が高い場所では、その地点より上にある空気の量が少ないので、紫外線が散乱を受けにくくなり、受ける紫外線が強くなるそうです。
さらに、標高が高いと、大気を通るときのオゾンによる吸収も少なくなり、紫外線は強まると説明されていました。一般的に、UVインデックスは標高が1000m高くなると約10%増えるとされています。環境省のマニュアルでは、標高が1000m上がるごとに紫外線量は10〜12%増えると書かれていました。
たとえば、標高1500mほどのゲレンデなら、海の近くの平地と比べて、それだけで15%前後紫外線が強くなる計算になります。そこに雪の反射が加わるので、平地で過ごす冬の日とは、紫外線の条件がまったく違うと考えておきましょう。
ここまでの数字を、単純な計算で重ね合わせてみます。平地の草地で浴びる量を「上からの100+反射10」とすると、標高1500mの新雪の上では、上からの紫外線が約115になり、そこに新雪の反射80%ぶんの約92が加わって、合計は約207です。平地の草地の110と比べると、2倍近い数字になります。実際の量は天気や時刻で大きく変わるので、あくまで目安ですが、環境省のマニュアルにある「雪による反射で2倍近いばく露量」という説明とも合う結果でした。マニュアルには、標高の高いところに住む人は低いところに住む人より強い紫外線を浴びるので、そのぶん大きな影響を受けるとも書かれています。
気象庁のページには、4月の正午ごろの晴天時のUVインデックスを推定した分布図も載っていました。UVインデックスはふつう北から南へ行くほど大きくなりますが、図では本州中部の標高の高い地域が、同じ緯度の低い土地より高い値になっています。春スキーで本州中部の高原のスキー場に行く場合は、この地図の色の濃い場所にいると考えておくとよさそうです。ただし、この推定図はエーロゾルの量を一定と仮定し、地形も20km四方の平均の標高で描かれています。山頂など、平均より高い場所では、地図の値より強くなることもありえます。
山頂で空気が澄んでいるともっと強くなることも
気象庁のページには、山頂で空気が非常に澄んでいる場合などには、先ほどの割合以上に紫外線が強くなることがある、とも書かれていました。高層気象台が夏の乗鞍岳(標高2,772m)で行った観測では、快晴のとき、つくば(標高31m)と比べて紫外線が約40%強くなったそうです。
これは、1000mあたり約15%強くなる計算になると紹介されていました。乗鞍岳とつくばの標高差は2,741mで、そのあいだで約40%の差が出たので、1000mあたりに直すと約15%になる、という計算です。観測は高層気象台が行ったもので、2014年の論文として出典も示されていました。この観測は夏のものですが、標高が高い場所では、一般的な目安より紫外線が強くなる場合があるということは覚えておきたいポイントです。気象庁も、登山など標高の高い場所に出かけるときは、紫外線対策を十分に行うよう呼びかけていました。
冬山の登山やバックカントリーなど、さらに標高の高い場所に行く人は、ゲレンデよりも紫外線の条件がきびしくなる可能性があります。行き先の標高を事前に調べて、準備の目安にしてみてください。
空気が澄んでいると紫外線が強くなるのは、空気中の細かい粒子が少ないからです。気象庁の「紫外線の性質」のページでは、エーロゾル(大気中に浮かぶ細かい粒子)が増えると紫外線は弱まると説明されています。山の上は平地に比べて、ちりや排気ガスなどの粒子が少ないことが多く、そのぶん紫外線が届きやすくなるわけです。
環境省のマニュアルでも、保健指導で伝えたい正しい情報の例として、「空気の澄んでいる場所の方が大量の紫外線を浴びる」ことが挙げられていました。雪山で空が青く澄みわたった日は、景色がきれいで気持ちのよい日ですが、紫外線の面ではもっとも条件がきびしい日の一つだと覚えておくとよいでしょう。ドイツ連邦放射線防護庁も、ドイツでは冬の紫外線対策はふつう必要ないとしたうえで、標高の高い雪の上は例外で、標高と雪の反射が重なると強い紫外線になると注意をうながしていました。
晴れた日の昼前後はとくに注意
気象庁の「紫外線の性質」のページによると、紫外線は1年のうちでは夏、1日のうちでは昼頃に強くなるとされています。冬は夏より紫外線が弱い季節ですが、1日の中で見れば、やはり昼前後が強い時間帯です。環境省のマニュアルの図では、東京の夏の場合、午前10時から午後2時までの紫外線量が1日の60%を占めると示されていました。
環境省のマニュアルには、薄い雲ではUV-Bの80〜90%が通り抜けるとも書かれていました。曇っているから大丈夫とは言い切れないので、晴れの日はもちろん、薄曇りの日も油断しないほうがよいでしょう。
天気による違いは、気象庁の「雲と紫外線」のページに目安が載っていました。快晴の日のUVインデックスを100%とすると、晴れの日はほぼ同じで、空のほとんどを雲が覆っていても薄曇りなら約8〜9割、曇りで約6割、雨の日でも約3割の紫外線が届くそうです。雲が多くても日が差している場合は、快晴の日より大きな値になることもあると書かれていました。
もう一つ知っておきたいのが、「昼」の時刻は場所によって少しずれることです。気象庁によると、1日のうちで太陽がもっとも高くなる時刻は、兵庫県明石市では12時ごろですが、東の地方ほど早く、西の地方ほど遅くなります。季節によって変わるものの、札幌市では11時35分ごろ、那覇市では12時30分ごろだそうです。また、1日の紫外線の変化は、日射全体のようになだらかではなく、昼に近い時間帯に急に大きくなるという特徴もあります。
環境省のマニュアルでは、紫外線の強い時間帯、おおむねUVインデックスが3以上の時間を避けて戸外で過ごすことを第一に考えるよう書かれていました。気象庁は翌日の紫外線の強さをUVインデックスで予報しているので、出かける前日に、滑りに行く地域の予報を確かめておくとよいでしょう。
スキー場では、ちょうど昼前後に一番長く滑っているという人も多いのではないでしょうか。休憩のタイミングで日焼け止めを塗り直したり、ゴーグルをきちんとかけ直したりと、昼の時間帯を意識して対策しておくと安心です。
目に起こる「雪目(雪眼炎)」とは
雪の上で気をつけたいのは、肌の日焼けだけではありません。目も紫外線の影響を受けます。雪面など紫外線の反射が強い場所で起きる目の炎症は、「雪目(ゆきめ)」と呼ばれています。
雪目は紫外線による角膜の炎症
環境省のマニュアルでは、紫外線角膜炎について、強い紫外線を浴びたときに見られる急性の角膜の炎症で、白目の充血や異物感、涙が出るといった症状があり、ひどくなると強い目の痛みが出ると説明されていました。そして、雪面など特に紫外線の反射が強い場所で起きる「雪目」が有名だと書かれています。
済生会の病気解説ページでは、雪眼炎は長い時間紫外線にさらされることで起こる目の障害で、晴天の雪原などで紫外線を浴びて起こることからこの名前がついたと紹介されていました。雪山の雪面からの反射のほか、海岸や高山で強い太陽光を浴びることでも起こるそうです。
済生会のページでは症状として、異物感、まぶしさ、目の痛み、涙が出続けること、目を開けにくいこと、視力障害、充血などが挙げられていました。目の表面にある角膜は紫外線を吸収しやすい性質があるので、目も肌と同じように守る必要があるわけです。
千葉市医師会のコラムによると、角膜は眼球のいちばん外側にある透明な膜で、「黒目」と呼ばれる部分にあたります。短い時間に紫外線を吸収しすぎて角膜の細胞に傷がつき、炎症が起きた状態をまとめて「紫外線角膜障害」と呼び、そのうちスキー場や雪原で起きるものを雪眼炎、電気溶接や殺菌灯など人工の紫外線で起きるものを「電気性眼炎」と呼ぶそうです。
環境省のマニュアルでは、目に入った紫外線の大部分は角膜で吸収され、水晶体を通って網膜まで届くのは1〜2%だと説明されています。雪目のような急な炎症のほかに、長い年月をかけて起こる目の病気として、白目が黒目の上に伸びてくる「翼状片」と、水晶体がにごる「白内障」が挙げられていました。翼状片は農業や漁業など屋外で過ごす時間が長い人に多く、白内障のうち日本人に多い皮質白内障というタイプは、紫外線との関係が知られているそうです。翼状片はふつう30代以降に起こり、進行は早くありませんが、黒目の中心近くまで伸びると見え方に影響が出るため、手術で切除することがあり、その後2〜7%の人は再発するとも書かれていました。
症状は時間がたってから出ることが多い
雪目のやっかいなところは、紫外線を浴びた直後には症状が出にくいことです。環境省のマニュアルによると、昼間に紫外線を浴びた場合、夜から深夜、あるいは翌朝にかけて発症し、大部分は24〜48時間で自然に治るとされていました。
千葉市医師会の健康コラムでも、紫外線を浴びた直後は無症状で、数時間ほどたってから発症することが多く、寝ている間に突然の痛みで目が覚めることもあると書かれています。治療をすれば角膜が再生され、通常は1〜2日ほどで治るものの、症状がよくならない場合は眼科専門医を受診するよう呼びかけていました。同じコラムでは、治療として感染を防ぐ抗生物質の目薬や軟膏を使い、できれば眼帯をすること、痛みには痛み止めを飲む場合もあることが紹介されています。
症状が出るまでの時間には幅があります。済生会のページでは、30分〜24時間の潜伏期間をへて症状に気づくこともあり、昼間に紫外線を浴びて、時間がたってから夜間の救急外来を受診する人も少なくないと書かれていました。山岳医療救助機構のページでは、強い紫外線なら1時間浴びただけでも炎症が起こりうること、目の痛みは典型的には6〜12時間後に始まり、両目に出ることが多いことが説明されています。
済生会のページでは、体が温まる入浴や飲酒は炎症を悪化させるので控えることが望ましいと書かれていました。滑り終わった夜に目がゴロゴロしたり、痛みが出てきたりしたら、雪目の可能性も考えて、早めに眼科に相談するようにしましょう。
受診するまでの過ごし方についても、いくつか注意点が紹介されていました。山岳医療救助機構のページでは、目をこすらないようにし、コンタクトレンズをしていれば外すよう書かれています。済生会のページによると、角膜に傷があるうちは痛みが数日続くことがあり、痛み止めが効きにくいのも特徴なので、目を閉じて安静にしておくことが大切だそうです。診察のときに使う麻酔の目薬は、治療に使うと角膜炎を悪くしたり治りを遅らせたりするため、処方は禁じられているとも説明されていました。
サングラスやゴーグルで予防する
済生会のページでは、スキー場や海水浴場、標高の高い場所にいるときは、紫外線を防ぐのに役立つサングラスやゴーグル、遮光眼鏡をかけることが第一だと書かれていました。千葉市医師会のコラムでも、スキー場や雪原を訪れるときは、サングラスやゴーグルを必ずかけるよう呼びかけています。
環境省のマニュアルによると、紫外線防止効果のあるサングラスや眼鏡を正しく使うと、目に入る紫外線を最大で90%カットできるそうです。選ぶときは紫外線防止効果がはっきり示されたものを選び、プラスチックのレンズの場合は「UVカット」の表示があるものを選ぶよう書かれていました。
また、目には正面からだけでなく、上や横、下からも光が入ってきます。レンズが小さいものや顔に合わないものでは、正面以外からの紫外線を十分に防げないため、ゴーグルタイプや顔にフィットする大きめのものを選び、帽子もかぶるとよいと紹介されていました。雪の照り返しは下から来るので、すき間の少ないゴーグルは理にかなっていると言えますね。
レンズの色の濃さにも注意が必要です。環境省のマニュアルによると、色の濃いサングラスをかけると目に入る光が少なくなるため、瞳孔がふだんより大きく開きます。そのため、紫外線カットが不十分なレンズでは、かえってたくさんの紫外線が目の中に入り、危険な場合があるそうです。「暗く見えるから紫外線も防げている」とは限らないので、色の濃さではなく、紫外線カットの表示で選ぶようにしましょう。
表示の見方については、ドイツ連邦放射線防護庁(BfS)が2026年1月に出した冬山の紫外線対策の案内に、「UV400」と表示されたレンズは紫外線をすべて遮ると書かれていました。山岳医療救助機構のページでも、UVBを99%以上カットするサングラスを選び、横から入る紫外線も防ぐことや、予備のサングラスを持っていくことがすすめられています。ゴーグルは転んだときに外れたりくもったりしやすいので、予備を1つ用意しておくと安心です。
スキー場で顔と肌を守るための準備
ここからは、スキー場で肌を守るための準備を考えてみましょう。気象庁のページにあるとおり、帽子や日傘は上からの紫外線には役立ちますが、雪からの反射は下から届きます。上と下の両方を意識するのがポイントです。
顔は日焼け止めとフェイスマスクで守る
スキーやスノーボードでは、ヘルメットやニット帽で頭を覆っていても、顔はむき出しになりがちです。特に、雪の反射を受けやすいあごの下や鼻の下、ほおなどは、ふだんの生活より日焼けしやすい場所だと考えられます。日焼け止めを塗るときは、こうした部分まで塗り残しがないようにしましょう。
日焼け止めは、汗や雪、転んだときの摩擦などで落ちることがあります。休憩のたびに塗り直すことを前提に、ポケットに入る小さめの容器を持っていくと便利です。塗り直しの目安について、日本化粧品工業会は、汗や水に強いウォータープルーフタイプでも衣服や動作による摩擦で落ちることがあるとして、少なくとも2〜3時間おきを目安に塗り直すよう呼びかけていました。グローブを外す手間を考えると、スティックタイプなど手を汚しにくい形を選ぶのも一つの方法でしょう。
顔を覆うフェイスマスクやネックウォーマーは、寒さ対策と紫外線対策を同時にできるアイテムです。肌が隠れている部分は紫外線を浴びにくくなるので、日焼け止めとあわせて使うと安心できます。ただし、隠れていない目の周りや鼻のまわりは、日焼け止めをしっかり塗っておきたいですね。
日焼け止めの数字の意味も確認しておきましょう。化粧品公正取引協議会のQ&Aによると、SPFはUV-Bによる日焼けをどれくらい遅らせられるかを表す数値で、塗らないときに比べて10倍遅らせられるなら「SPF10」と表示されます。PAはUV-Aを防ぐ効果の目安で、環境省のマニュアルでは「PA+」から「PA++++」までの4段階があり、+が多いほど効果が高いと説明されていました。同じQ&Aでは、炎天下の海辺や高山で過ごすときには「SPF30〜50」「PA++〜+++」をすすめています。
量が少ないと、表示どおりの効果は出ません。環境省のマニュアルでは、顔に塗るときは、クリーム状ならパール粒1個分、液状なら1円硬貨1個分を手のひらにとり、額、鼻の上、両ほお、あごに分けて置いてから塗り広げ、そのあともう一度同じ量を重ねるよう紹介されていました。鼻の頭のように日が当たりやすい場所は、念入りに塗るとよいそうです。
唇と耳、首まわりも忘れずに
意外と見落としがちなのが、唇や耳、首まわりです。唇は乾燥しやすいうえに、ふだんは日焼け止めを塗らない人も多い場所です。UVカット効果のあるリップクリームを使うと、乾燥対策と紫外線対策を一緒にできます。
耳はヘルメットやニット帽で隠れることもありますが、帽子の形によっては耳たぶが出ていることがあります。首まわりも、ウェアのえりとフェイスマスクの間にすき間ができやすい部分です。出かける前に鏡の前でウェアを着て、肌が出ている部分を確認しておくとよいでしょう。
ドイツ連邦放射線防護庁の案内でも、顔や唇など覆われていない肌には、SPF30以上、できれば50や50+の日焼け止めを使うようすすめていました。外に出る20〜30分前に塗り、遅くとも2時間後には塗り直すとよいそうです。リップクリームも同じように、食事や水分補給のあとは落ちていると考えて、塗り直しておきましょう。
首まわりを布で覆うときは、生地選びも関係します。環境省のマニュアルによると、えり付きのシャツのように体を覆う部分が多い服のほうが、首や腕、肩を紫外線から守ってくれます。また、織り目や編み目が詰まった生地ほど紫外線を通しにくく、生地を太陽に透かしてみると簡単に確かめられるそうです。色の濃い生地のほうが紫外線は通りにくいとも書かれていたので、ネックウォーマーを選ぶときの参考にできそうです。
雪の上では、ウェアや肌が雪で濡れることもあります。日本化粧品工業会のQ&Aによると、「UV耐水性★」「★★」の表示は、水に触れたり浸かったりしたときに効果がどれだけ保たれるかを示すもので、汗に対する強さを示すものではありません。汗に強いかどうかを示す共通の試験法や表示は、国際的にもまだないそうです。
ゴーグルやサングラスを外したときに、目のまわりだけ日焼けしていない「ゴーグル焼け」になってしまうこともあります。ゴーグルのふちのあたりも塗り残しやすいので、日焼け止めは目のまわりのきわまで丁寧に塗っておくと、きれいに仕上がりやすくなります。
子どもと一緒に行くときの注意
家族でスキー場に行くときは、子どもの紫外線対策も忘れないようにしたいところです。子どもは夢中になって長い時間雪の上で遊ぶことが多いので、こまめに休憩をとって、そのたびに日焼け止めを塗り直してあげるとよいでしょう。
子どもの目を守るために、子どものサイズに合ったゴーグルやサングラスを用意しておくのも大切です。環境省のマニュアルにあるように、顔に合わないものでは横やすき間から紫外線が入ってしまいます。実際にかけてみて、すき間ができないかを確認してから選んでみてくださいね。
子どもの日焼け止め選びについては、環境省のマニュアルに、子ども用として売られているものや肌の敏感な人向けのものは、紫外線散乱剤だけを使ったものが多いと書かれていました。こうした商品には「紫外線吸収剤無配合」「紫外線吸収剤フリー」「ノンケミカルサンスクリーン」などと表示されています。紫外線散乱剤は少し白く見えるものの、アレルギーを起こすことがほとんどないそうです。
また、マニュアルでは、衣服などで覆えない部分には、大人だけでなく子どもも上手に日焼け止めを使うのが効果的だとしています。帰ったあとは、耐水性の高いものなど専用のクレンジングが必要と書かれたものもあるので、商品の説明を確かめて、その日のうちにやさしく落としてあげましょう。多くはメーク落としで溶かすように洗えば落ちると説明されていました。
赤ちゃんを連れて雪遊びに行く場合は、さらに配慮が必要です。環境省のマニュアルによると、赤ちゃんは大人より皮膚が薄く、紫外線の悪い影響を受けやすいので、強い日光に長い時間当てるのは禁物とされています。日差しの強い9時〜15時ごろを避け、帽子やベビーカーの日よけを使うことがすすめられていました。乳児は、紫外線の強い時間帯に外に出さないことや覆いをする工夫をすれば、日焼け止めを使わなくてもよいとも書かれています。
雪遊びやそり遊びなど、滑らない日でも、雪の上にいる時間が長ければ紫外線の条件は同じです。帰ってから子どもが目の痛みや異物感を訴えたら、雪目の可能性も考えて、早めに眼科で相談するようにしましょう。
まとめ:雪の上では「下からの紫外線」を意識しよう
- 新雪の紫外線反射率は80%で、草地やアスファルト(10%以下)よりずっと高い
- 雪による反射で、冬でも2倍近い紫外線を浴びることがある(環境省)
- 標高が1000m高くなると、紫外線は約10%強くなる(気象庁)
- 雪目は紫外線による角膜の炎症で、浴びてから数時間後や夜に症状が出ることが多い
- 目はUVカット表示のある、顔にフィットするゴーグルやサングラスで守る
- 顔は日焼け止めを塗り直し、唇や耳、首まわり、あごの下も忘れずに