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家の中や車の中にいれば日焼けの心配はない、と思っている人は多いかもしれません。けれども窓ガラスが止める紫外線は種類によって違い、ガラスの性能でも通す量が大きく変わるのが実際のところでしょう。
ここでは、窓ガラスが通しやすい紫外線の種類、住宅のガラスごとのUVカット率、車の窓の違い、窓際の対策、季節や天気による変化を順に整理します。数字は気象庁や環境省、ガラスメーカー、JAFの公開資料にもとづきます。2026年10月時点の情報です。
窓ガラスは紫外線を通す?
まずは、紫外線にどんな種類があり、窓ガラスがそれぞれをどれくらい止めるのか、基本の仕組みから見ていきましょう。
UV-Bは止まりUV-Aは通りやすい
気象庁の「紫外線とは」のページによると、紫外線は波長の長いほうからUV-A、UV-B、UV-Cの3つに分けられます。UV-Aは315〜400nmの範囲で、大気による吸収をあまり受けずに地表まで届く紫外線です。太陽からの日射に占める割合は数%程度で、生物への影響はUV-Bより小さいとされています。
UV-Bは280〜315nmで、成層圏のオゾンに大部分が吸収され、残りが地表に届きます。日射に占める割合は0.1%程度ですが、生物に大きな影響を与えるのがこちらです。UV-Cは100〜280nmで、オゾンと酸素分子によってすべて吸収されるため、地表には届きません。私たちが日常で浴びているのは、UV-AとUV-Bの2種類ということになります。
窓ガラスとの関係で大切なのが、この2つの違いです。一般的な建築用ガラスはUV-Bの大部分を止める一方で、波長の長いUV-Aは通しやすい性質があります。皮膚科クリニックの解説記事「室内で日焼け止めは必要か?」でも、建築用ガラスではUV-Bのほとんどをカットできるものの、古い単板ガラスや一般的な複層ガラスではUV-Aの透過率が50%を超えると説明されています。
UV-Aは安全なのかというと、そうとも言い切れません。環境省の紫外線環境保健マニュアル2020では、UV-AはUV-Bほど有害ではないものの、長時間浴びた場合の健康影響が懸念されているとしています。マニュアルのPA(UV-Aを防ぐ指標)の説明によると、UV-Bを除いたUV-Aを皮膚にあてると数分で皮膚が黒くなり、量が多くなると数時間以上黒さが続くようになるそうです。また、日焼けサロンのようにUV-Bを除いてUV-Aだけを浴びる場合でも、浴びすぎれば水ぶくれやシミなどの障害が起こりうること、UV-AによってもDNAの傷が生じるという報告があることにもふれています。
X(旧Twitter)でも、「普通の窓ガラスは・UV-Bはほぼカット・UV-Aは半分以上通過」と注意を呼びかける窓ガラスと紫外線についての投稿が見られました。窓ガラス越しの日差しで赤く日焼けしにくいのはUV-Bが止まっているからで、UV-Aまで止まっているわけではない、と覚えておくとよいでしょう。
一般的な複層ガラスのカット率は約4割
では、住宅の窓ガラスは実際にどれくらい紫外線を止めているのでしょうか。サッシメーカーのLIXILが公開している複層ガラスの熱・光学性能値の資料には、ガラスの組み合わせごとの「紫外線カット率」が載っています。
それによると、2枚の透明ガラスの間に空気層をはさんだ一般的な透明複層ガラスの紫外線カット率は、3mmのガラス2枚で40%、4mmのガラス2枚で45%、5mmのガラス2枚で49%です。ガラスが厚いほど少し高くなるものの、いずれも半分に届きません。裏を返せば、紫外線の半分以上が窓を通り抜けて室内に入っている計算です。性能値の資料は窓の省エネ性能を示す一覧で、紫外線カット率はほかの熱的な数値と並べて載っています。型ガラスやフロストガラスを組み合わせた場合も、43〜49%と大きな違いはありません。同じ透明複層ガラスの可視光透過率は80〜82%と高く、明るさを通すガラスほど紫外線も通しやすいという関係が見えてきます。
衣料品メーカーのユニクロが外部機関に依頼して行ったガラスの紫外線透過率に関する実験でも、似た傾向が出ています。住宅やオフィスビルで使われる透明複層ガラス、Low-E複層ガラス、単板ガラスの3種類に擬似太陽光をあててUV-Aの強さを測ったところ、屋外で浴びる量の約80%のUV-Aがガラスを通って入ってくる結果になったとのことです。この実験は一定の条件下のもので、ガラスの種類ごとの数字ではなく全体の傾向として示されています。
同じ発表では、UV-Aの量が最大になるのは正午ごろであるものの、朝7時から午後3時までの日中のほとんどの時間で注意が必要だとしています。窓から差し込む日差しは朝夕にも部屋の奥まで届くため、正午だけ気をつければよいわけではありません。
環境省のマニュアルには、年間で見ると屋内で働く人は屋外で働く人の10〜20%の紫外線を浴びている、という世界保健機関(WHO)の資料にもとづく数字も載っています。屋内でもゼロにはならない一方で、屋外よりははるかに少ないということです。窓ガラスの性能を知っておくと、自分の部屋がどれくらい紫外線を通しているのか、見当をつけやすくなるでしょう。
家の窓はガラスの種類で変わる?
住宅の窓ガラスには、省エネや防犯のための高機能なものもあります。種類ごとのUVカット率の違いを見ていきましょう。
Low-E複層ガラスは約7〜8割をカット
最近の住宅で増えているのが、Low-E(ローイー)複層ガラスです。ガラスの表面に特殊な金属膜をコーティングして、熱の出入りを抑えるガラスで、LIXILのサーモスⅡ-H/L・防火戸FG-H/Lのガラス設定のページでは、一般複層ガラスの約1.7倍の断熱効果があると紹介されています。
この金属膜は紫外線にも効きます。同じページによると、防火地域の標準ガラスである網入りのLow-E複層ガラスの紫外線カット率は、グリーンで84%、クリアで75%です。網の入っていない耐熱強化透明複層ガラスでも、グリーンで81%、クリアで70%とされています。
先ほどのLIXILの性能値の資料でも、透明ガラスとLow-Eガラスを組み合わせた複層ガラスの紫外線カット率は、Low-E膜の色がクリアなら70〜74%、グリーンなら82〜84%、ブロンズなら69〜72%と示されています。一般的な透明複層ガラスの40〜49%と比べると、通す紫外線は半分前後まで減る計算です。
ただし、Low-E複層ガラスは2つのタイプに分かれる点に注意が必要です。冬の日差しの熱を取り込みやすい「日射取得型」と、夏の日差しの熱を遮りやすい「日射遮蔽型」で、資料ではクリアのLow-E膜が日射取得型、グリーンが日射遮蔽型に分けられています。紫外線カット率はグリーンのほうが高い傾向ですが、可視光透過率はクリアで約77〜79%、グリーンで約69〜70%と、グリーンのほうが少し暗めの仕上がりです。日射熱取得率も、透明3mmとの組み合わせ(空気層)でクリアが0.62、グリーンが0.49と差があり、夏の暑さを抑えたい窓ほどグリーンが向いていることがわかります。
窓の向きによって選び方を変えるのも一つの考え方です。日差しが強く入る西向きや南向きの窓には日射遮蔽型、冬の日差しを取り込みたい窓には日射取得型、といった使い分けがよく紹介されています。紫外線対策だけで決めるのではなく、明るさや冬の暖かさとのバランスで選ぶとよいでしょう。
自宅の窓がLow-Eかどうかわからない場合は、建てたときの仕様書や、サッシやガラスに貼られたラベルが手がかりになります。賃貸住宅なら、管理会社に問い合わせるのが確実です。
合わせガラスならほぼ100%
紫外線をほとんど通さないのが、合わせガラスです。2枚のガラスの間に樹脂の中間膜をはさんで貼り合わせたもので、防犯ガラスや、割れにくい安全ガラスとして使われています。
LIXILのガラス設定のページによると、安全合わせ複層ガラス(UVカット機能付)は紫外線をほぼ100%カットするとされ、紫外線カット率はグリーン、クリアともに100%と記されています。性能値の資料でも、30milや45milの中間膜をはさんだ合わせガラスを使った複層ガラスは、Low-E膜の有無にかかわらず、どの組み合わせも紫外線カット率が100%です。ミルは中間膜の厚さの単位で、ガラス設定のページによると15mil、30mil、60milはそれぞれ約0.38mm、0.76mm、1.52mmです。
合わせガラスの本来の役目は、割れにくさと安全性にあります。同じページでは、優れた耐貫通性でこじ破りや打ち破りの対策に有効なこと、官民合同会議が定める「防犯性能の高い建物部品」であること、割れても飛散しにくく地震にも安心であることが紹介されています。紫外線を防ぐ力は、樹脂の中間膜がもたらすおまけのような性能といえるでしょう。
一方で、合わせガラスは熱の通しやすさでは一般の複層ガラスと大きく変わりません。性能値の資料では、Low-E膜のない合わせ複層ガラスの熱貫流率は2.8〜2.9W/(㎡・K)で、一般の透明複層ガラスとほぼ同じです。断熱と紫外線対策を両方ねらうなら、Low-Eと合わせガラスを組み合わせた複層ガラスという選択肢もあり、その場合の熱貫流率は1.4〜1.7W/(㎡・K)程度まで下がります。
窓ガラスの交換は費用も手間もかかるため、紫外線だけを理由に入れ替えるのは現実的ではないかもしれません。リフォームや新築のタイミングで、防犯や断熱とあわせて検討するのがよさそうです。今の窓のまま対策したい場合は、後半で紹介するフィルムやカーテンが手軽な方法でしょう。
家具や床の色あせが気になる人にとっても、紫外線カット率は判断の材料になります。ただ、色あせの原因は紫外線だけではない点も覚えておきたいところで、この点はフィルムの項目でふれます。
車の中でも日焼けする?
毎日運転する人にとって、車の窓は身近な存在です。JAF(日本自動車連盟)のテスト結果から、ガラスごとの違いを見ていきます。
フロントガラスは紫外線をほぼ通さない
JAFユーザーテスト「クルマに乗っていれば、日焼けしない?」は、ガラスの種類が違う4台の車で、窓ごとの紫外線の強さを比べたテストです。使われたのは、比較用のオープンカー、UVカット機能のないクリアガラスの車、約90%の紫外線をカットする一般的なUVカットガラスの車、約99%をカットするスーパーUVカットガラスの車でした。テストの結果は、2018年5月15日のJAFの発表とともに公開されたものです。
フロントガラス、前席ガラス、後席ガラス、リアガラスのそれぞれに日差しが当たるように車の向きを変えて計測した結果、フロントガラスはオープンカー以外すべて数値が1桁以下と低い値になりました。JAFはこの結果の理由を、フロントガラスは約30年前にフィルムを挟んだ合わせガラスが義務化され、そのフィルムに紫外線をカットする機能も備わっているからだと説明しています。
ここでいうフィルムは、住宅用の合わせガラスと同じく、2枚のガラスの間にはさまれた中間膜のことです。住宅の合わせガラスの紫外線カット率が100%とされているのと同じ理屈で、車のフロントガラスも紫外線をほとんど通さないと考えてよいでしょう。
つまり、運転中に日焼けが気になるとしたら、原因はフロントガラス越しの日差しよりも、横の窓から差し込む日差しのほうにあるということです。日本で多い右ハンドルの車なら運転席の右側の窓がそれにあたります。テストの数値で比べても、フロントガラスが1桁以下だったのに対し、クリアガラスの前席ガラスは1,000μW/㎠を超えていて、100倍以上の開きがありました。
実際、運転する人の間では右側だけが日焼けするという声がよく聞かれます。「通勤時運転してる時右側からだけ太陽光が当たるから右腕だけ日焼けが濃い」という通勤で運転する人の投稿もありました。
窓を開けて走れば、ガラスの性能は関係なくなります。「車のエアコンが壊れて毎日窓開けて運転してたら、直射日光を右側だけ浴び続けて右腕だけ小学生並みに日焼けしてしまいました」という窓を開けて運転していた人の投稿のように、窓を下ろしている間は屋外と同じ日差しを浴びていることになります。
サイドガラスは車種で大きな差
フロントガラス以外の窓では、ガラスの種類による差がはっきり出ました。JAFのテストでは、UVカットガラスの車が275μW/㎠以下だったのに対して、クリアガラスの車の前席ガラスやリアガラスは1,000μW/㎠を超えました。μW/㎠は紫外線の強さを表す単位です。スーパーUVカットガラスの車は4カ所すべてで1μW/㎠以下となり、99%カットをうらづける結果になっています。
運転席に座った人の腕での比較もあります。紫外線の強さで色が変わる「UVラベル」をモニターの腕に貼り、各車の運転席(右側)で30分間の変化を見たテストでは、オープンカーが3分30秒、クリアガラスの車が16分30秒でラベルが赤く変わりました。UVカットガラスの車は30分後にわずかに赤くなった程度で、スーパーUVカットガラスの車は色が変わらなかったとのことです。
テストの中で、紫外線に詳しい神戸大学名誉教授の市橋正光氏は、通常のUVカットガラスでもUV-Bはかなりカットできるのでそれほど日焼けを心配することはないとしつつ、車の場合はドライブなどで長時間UV-Aを浴びる危険性があると指摘しています。より多くの紫外線を長時間浴び続ければ、シワやたるみなどの老化が進むため、UVカット機能の高い車に乗ったり、紫外線を防ぐ化粧品で守ったりすることが大切だという内容です。
気をつけたいのは、同じ車種でも年式やグレードによってガラスが違う場合があることです。JAFもこの点を注記していて、季節や天候、時間、計測位置によっても紫外線の強さは変わるとしています。自分の車のガラスがどの種類かは、取扱説明書や販売店で調べられるはずです。
後席やリアの窓は、プライバシーガラスと呼ばれる色の濃いガラスになっている車も多く見られます。ただ、色の濃さとUVカット性能は別の性能なので、濃く見えるからといって紫外線を十分に止めているとは限りません。
JAFのテストは、紫外線の強くなる5月に公開されたものです。真夏の強い日差しではないからと安心せず、日焼け対策をとることが大切だとまとめられています。毎日のように長時間運転する人ほど、自分の車の窓の性能を一度知っておくとよいでしょう。
窓際でできる対策は?
窓ガラスを替えなくても、できる対策はいくつかあります。家と車それぞれで、使える方法と注意点を見ていきましょう。
UVカットフィルムは透過率3%以下が目安
手軽な方法の一つが、窓ガラスに貼るUVカットフィルムです。日本ウインドウ・フィルム工業会のJISの解説ページによると、窓ガラス用フィルムには建築用のJIS A 5759と自動車用のJIS S 3107の2つの規格があり、どちらも日射調整フィルムの紫外線透過率を3%以下と定めています。言い換えれば、規格に合う日射調整フィルムは紫外線の97%以上をカットするということです。
フィルムメーカーのリンテックコマースのよくある質問では、同社のUVカット率はJIS A 5759にもとづいて、UV-AとUV-Bの領域(300〜380nm)を測定した平均値だと説明しています。市販のUVチェッカーは機種によって測る波長の範囲が違い、室内の蛍光灯の紫外線を感知することもあるため、表示どおりの数字にならない場合があるとのことです。
住宅に貼る場合は、貼る面にも気をつけましょう。3Mの建築用ウインドウフィルムのよくある質問によると、同社のフィルムは一部の外貼り用を除いてガラスの内側に貼る前提で作られていて、内貼り用を屋外側に貼ると紫外線などで短い期間で劣化してしまうとのことです。また、フィルムを貼るとガラスの日射吸収率が変わって温度差が生じ、条件によっては熱割れを起こす可能性があるとして、事前の熱割れ計算を勧めています。
同じよくある質問では、全製品の紫外線カット率が99%以上であるため家具などの日焼けの影響は大きく減らせるものの、日焼けの原因には可視光線や熱もあり、完全に防ぐものではないとしています。色あせ対策としても、紫外線を止めれば終わりではない点は知っておきたいところです。
車の場合は法律の決まりがあります。JAFのテストのページでは、フロントガラスと運転席・助手席の側面ガラスは可視光線透過率が70%以上ないと違反になると注意を促しています。透過率はガラスとフィルムを合わせた数値なので、色の薄いスモークフィルムでも注意が必要です。
同じテストの補足には、UVカット機能のないガラスでの紫外線対策グッズの効果も載っています。サンシェードは後部座席にしか使えないため、前席でも使えるフィルムと液剤を使い、モニターの顔付近で使用前後の紫外線の強さを測った結果、5〜8割ほど減ったと報告されています。
窓からの距離と日焼け止めの使い分け
窓際の紫外線は、窓からの距離で大きく変わります。皮膚科クリニックの解説では、紫外線は窓際に近いほど多く浴び、窓から1メートル以上離れるだけでもその量は急に減ることが研究でわかっているそうです。デスクやソファを窓から少し離すだけでも、浴びる量を減らせるということになります。
同じ記事では、車内と一般的な室内を同じように考えるのは適切ではない、とも指摘しています。車内はガラスと人の距離が数十センチに固定された特殊な状況で、一般的な室内生活で窓ガラスに長時間くっついて過ごす人はほとんどいないからです。そのうえで、窓際1メートル以内や車内で毎日長時間過ごす人、肌が白く赤くなりやすい人などは、室内でも紫外線対策を考えるとよいとまとめています。
窓際で長い時間を過ごす人の中には、肌の変化に気づいたという声もありました。「窓ガラスはシミの元になる紫外線A波を通すから、窓側の頬だけ先にくすんだのはたぶんそのせい」という窓際のランニングマシンを使っていた人の投稿のように、片側だけに差が出るのは窓際の紫外線の特徴といえます。
日焼け止めを使うなら、窓越しに届くのはUV-Aが中心だという点が選ぶときのヒントです。環境省のマニュアルによると、SPFは主にUV-Bを防ぐ指標、PAはUV-Aを防ぐ指標で、PAは+から++++までの4段階に分かれ、+が多いほどUV-Aを防ぐ効果が高くなります。SPFとPAの読み方は、SPF50+とPA++++の表示を読み分ける記事でも詳しく紹介しました。
数値の高さだけで選ぶ必要はありません。同じマニュアルでは、日常の洗濯物干しや買い物程度なら、それほど数値の高くない日焼け止めで十分で、日中用の乳液やクリームでSPFとPAが表示されているものも有効だとしています。室内の窓際で過ごす日は、肌への負担の少ないものを選ぶのも一つの考え方です。
日焼け止め以外では、衣服で覆う方法もあります。マニュアルは、体を覆う部分の多い衣服や、織り目・編み目のしっかりした生地を選ぶよう勧めています。窓際での作業中だけ薄手の長袖を羽織る、運転中はアームカバーを使う、といった工夫なら、塗り直しの手間もかかりません。
季節や天気で窓辺の紫外線は変わる?
最後は冬や曇りの日の窓辺についてです。夏ほど日差しを感じない時期でも、窓を通るUV-Aは意外と残っています。
冬もUV-Aは夏の半分ほど
紫外線は夏に強く冬に弱い、というイメージがありますが、UV-AとUV-Bでは季節による変化の大きさが違います。ユニクロの発表の中で、市橋正光氏は、UV-Bの量は冬と夏で1対5なのに対し、UV-Aは1対2で、冬でも夏の半分程度の量があると解説しています。UV-Aは年間の変動が少ないため、年間を通じた対策が大切だという内容です。
窓ガラスが止めにくいのはUV-Aのほうなので、冬の窓辺では、UV-Bがぐっと減る一方でUV-Aは夏の半分ほど残っていることになります。冬は日差しが恋しくなり、窓際の日だまりで過ごす時間が長くなりがちです。暖かさを楽しみながらも、長時間同じ場所に座り続けるなら、ときどき場所を変えるといった工夫が役立つでしょう。なお、環境省のマニュアルでは、ビタミンDをつくる紫外線の波長は日焼けを起こす紫外線の波長とほぼ同じだと説明されています。UV-Bを止める窓ガラス越しの日光浴では、ビタミンDはあまり期待できないと考えられます。
冬は太陽の高さが低くなるため、窓から差し込む日差しが部屋の奥まで届くことも見逃せません。夏は軒やひさしにさえぎられていた日差しが、冬は床や家具、窓際のデスクまで直接届くようになるわけです。
環境省のマニュアルによると、日本では6月から8月に紫外線が最も強くなり、同じ気象条件なら太陽が頭上にくるほど強い紫外線が届くとのことです。一日のうちでは正午ごろが最も強く、東京の夏の場合、午前10時から午後2時までに一日の紫外線量の60%が集中するとされています。冬はこの山が低くなるものの、UV-Aの減り方はUV-Bほど大きくありません。
外出時の冬の紫外線対策については、冬の紫外線対策は必要かをまとめた記事で、12月のUVインデックスの目安や日焼け止めの選び方を紹介しています。窓辺の対策と組み合わせて考えると、季節ごとにどこまで備えればよいかが見えてきます。
「今日はほぼ室内だから日焼け止めいらない」と思っていたものの、UV-Aは窓ガラスを通ると知って考えが変わった、という室内の紫外線についての投稿もありました。冬場は特に、外出しない日の油断が積み重なりやすい時期です。
曇りの日と北向きの窓
曇りの日も、紫外線は思っているより多く届いています。環境省のマニュアルによると、薄い雲ではUV-Bの80〜90%が雲を通り抜けます。屋外では、太陽から直接届く紫外線と、空気中で散乱して届く紫外線がほぼ同じくらいの量になっているとのことです。曇りの日の紫外線の目安については、曇りの日の紫外線の強さをまとめた記事で、気象庁の数字をもとに整理しています。
散乱光が多いということは、直射日光が入らない窓からも紫外線は入ってくるということです。同じマニュアルでは、直接日光のあたらない日陰でも紫外線を浴びていることを忘れないように、と呼びかけています。日陰の紫外線は日なたの約50%で、日傘や帽子でも散乱している紫外線までは防げないという説明です。
ユニクロの発表でも、南から浴びる直射光以外に、北側や日陰にも散乱光という形で紫外線は届いていて、北だから日陰だからといって安心はできないと解説されています。北向きの窓は直射日光こそ入りにくいものの、紫外線がまったく入らないわけではないということです。
窓の外の地面も影響します。環境省のマニュアルによると、地表面の紫外線の反射率は新雪で80%、砂浜や水面で10〜20%、コンクリートやアスファルトで10%、草地や土で10%以下と、種類によって大きく違います。雪の積もる地域や海辺、川沿いの部屋では、照り返しの分だけ窓から入る紫外線も増えると考えておくとよいでしょう。
ただし、散乱光そのものは直射日光より弱く、窓から離れればさらに減っていきます。北向きの部屋で窓から離れて過ごすなら、南や西の窓際に比べて浴びる量はずっと少なくなります。気にしすぎて毎日の負担が大きくなるよりも、窓の向き、窓からの距離、過ごす時間の長さの3つで、対策の強さを決めるのが現実的です。
その日の紫外線の強さを知りたいときは、気象庁が発表しているUVインデックスの予報が役に立ちます。UVインデックスの読み方と準備の決め方の記事も参考にしてください。UVインデックスは主に屋外の紫外線の強さを表すものですが、数字が高い日は窓際の日差しも強くなると考えておくと、室内の対策を決める目安にもなるはずです。
まとめ
窓ガラスと紫外線について、押さえておきたいポイントは次の5つです。
- 一般的な窓ガラスはUV-Bの大部分を止めますが、UV-Aは通しやすく、室内や車内でも浴びています。
- 一般的な透明複層ガラスの紫外線カット率は40〜49%、Low-E複層ガラスは約70〜84%、合わせガラスを使った複層ガラスは100%とされています。
- 車のフロントガラスは紫外線をほとんど通しませんが、サイドガラスは車種やグレードで差が大きいのが実情です。
- UVカットフィルムは規格上の紫外線透過率が3%以下で、車の前席の窓に貼る場合は可視光線透過率70%以上の決まりを守る必要があります。
- UV-Aは冬でも夏の半分ほどあり、曇りの日や北向きの窓にも散乱光で届くため、窓からの距離と時間で対策を選びましょう。